『通信と放送の融合に挑んだ竹中懇談会の理想と現実』

通信と放送の融合に挑んだ竹中懇談会の理想と現実』 日経コミュニケーション、2006年6月15日

そもそもこの懇談会で、"何故インターネットでテレビの生放送がみれないのか”などの素朴な疑問を解決するためには今後どのようなことを国として進めていかないといけないのか、という提案を期待していたにも関わらず、単なるNTTの組織論やNHKの組織論になってしまっていますね。確かに、最終的な実現には何らかの組織論は必要です。しかし、組織論は、この通信と放送の融合を実現するためだけを考慮して実行されるものではありませんね。従って、この懇談会の提案をみて実に残念に思えます。アクセス網の分離を提案していますが、これがどのように通信と放送の融合に繋がるのかさえ見えませんね。どうも単にこの提案は法律を変えなくても実現できそうなので懇談会の具体的な提案として出しやすい、という本音が見え隠れするのがまたつまらくもあります。なお、提案にある基本方針や融合を進めるための環境整備の提案は、本懇談会の課題に沿った提案だと思いました。その具体的な提案がアクセス網の分離や、現在の電話サービスを前提に分離したNTT組織前提にした見直し、というところで中身が近視眼的に思えて仕方がありません。
                          小柳恵一