日経新聞、米ネット無料広がるの記事

この記事の内容は大変意味深いと思っています。

日経コミュニケーション、2006年8月1日号に記載されている"NGN"や"FMC"などの議論に比べて将来へのインパクトが実に大きいと思うのです。これらNGNFMCの記事、そして、NTT組織分割の話の中で、いつでも抜けているのが、それら議論で前提として将来のネットワークやコンピュータの世界を全く語っていないことだ、と日頃痛感しているからです。その姿を語らずに単に、帯域制御やセキュリティだの、個々の技術を可能にする(具体的なことは書かれていませんが)などの仔細な話に夢中になっている、というのが私の感想です。

この日経新聞にある"米ネット無料広がる"で書かれているような内容こそが、将来のネットワークではないかと私は想定しています。それを前提にした際に、日本で騒いでいる議論、つまり日本国内のパイの取り合いだけに着目した競争原理に基づく技術や組織論などほとんど無駄ではないのかと思うのです。

AT&Tが無料の無線インターネット接続を提供したり、Googleが無料のそれに加えて書籍の無料ダウンロードなどを実施したり、ネット上でのサービス・製品化の無料化がどんどん進んでいます。つまり、今のTV放送のような広告収入による利益を前提にネットワークそのものは無料化しようとしている訳です。

新たな技術は新たなサービスに群がるユーザが作り出すものであり、ネットワークプロバイダが作り出してきた20年前のINSサービス実験時代とは全く違うのだと認識する必要があるのではないかと、上記日経コミュニケーション2006年8月1日号の記事を読みながら思いました。

そして、移動と固定サービスなどのように機能で分離されているNTTのような企業は、これからのネットワークやサービスの展開がますます困難になりますね。そして、それが日本のユーザの不利益になると考えています。ユーザから見えるサービスレベルから考えて固定か移動を意識させてはいけない、と考えるからです。