異端の数ゼロ―数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念

2003
早川書房
チャールズ サイフェ, Charles Seife, 林 大

Charles SEIFE氏の最近の著書である"Decoding The Universe"を読もうと思いましたが、SEIFE氏が昔書いて評判になった本書をまだ読んでいなかったことに気づき、まずこの作品から読ませてもらいました。

内容的には、古代エジプトから、バビロニアギリシャ、そしてインドでの“ゼロ(と無限)”の扱いの観点から論じ、その哲学的違いからの生じた歴史の違いを述べ、そこからニュートン一般相対性理論量子論へ繋げ、ひも理論からM理論へ話を運び、宇宙インフレーション理論まで進めている。しかも、これらひも理論と宇宙理論は、かつてのピタゴラスの哲学に劣らず無用のものかもしれない、というトーンで冷静に本書を終わらせているとともに、“科学者が知っているのは、宇宙が無か生まれたこと、無に帰るだけのことである”、として終えているのは、著者の見識の深さを感じさせるものです。そして、著者の最近の著書である"Decoding The Universe"への興味を刺激しれくれました。

本書で僕の期待していた内容に至っていない(5年も前の古い本なので仕方ありませんが・・)点を、"Decoding The Universe"が少しは答えてくれることを期待させてくれます。