箱根の坂

1998
文芸春秋
司馬 遼太郎
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昔、いつ頃であったかは忘れましたが、『箱根の坂』を初めて読んで早雲が建てた城館跡を見たいと思ってから長い年月が過ぎた後、海を見下ろす小高い丘の上にある興国寺城跡に立った時の思いが今でも鮮明に思い出されます。

想像したよりもやや高い丘の上から南に駿河湾を望み、東西に走る東海道を見下ろし、甲斐への道に繋がる要所であることを実感すると、早雲のしたたかな姿がその風景の中から浮かんでくるような気持ちになりました。いい風景でした。

そんな時、背後から大きな騒音が聞こえました。新幹線の音であることに気がついたとき、司馬遼太郎が、どこかで、"早雲が城館を築いた丘は、今は何も無く、ただ日のあたる高所として、鉄道が通るそばにあります。”、というような文章を書いていたことを思い出しました。

今、何年ぶりかに箱根の坂を読み、また、津海岸、駿河、箱根、伊勢崎、川越、伊豆、三浦界隈あたりを歩きたくなりました。


早雲ら7人が船で駿河に出発した津の海岸


興国寺跡