鋳銭司界隈と村田蔵六

鋳銭司界隈
普門寺 観音堂
先日、久しぶりに司馬遼太郎の『花神』を読みました。そうですね、30年ぶりではないかと思います。いい作品です。初めて読んだ時、その作品が私に与えた影響が大きかったことを覚えています。読んだ直後から山口市にある鋳銭司村に行きたいと思い、その数年後に訪れた思い出があります。それ以来、鋳銭司村には行っていません。また、行きたいと思っていました。その作品を読んで以来、お酒を飲むと豆腐を食べることが好きになっています。それが今でも続いている自分が、また可笑しくもあります。村田蔵六が、村医師として歩く姿が作品『花神』に描かれています。その風景を見たく再度、鋳銭司を訪れました。田植えの時期で作業を進める村の人達に、道を尋ねながら散策を楽しみました。長閑ないい風景でした。また、兵学をもって長州に使えた蔵六の風景にも接したく、山口市にある普門寺に始めて足を運びました。蔵六の生活感がまだ染みている観音寺を訪れることが出来たのは幸せなことです。この部屋で蔵六が若い人々に近代兵学を教授しながら寝泊りし、木戸孝允と話を交わし、豆腐を食べながら酒を飲んでいたかと思うと、蔵六という人が、司馬遼太郎のいうところの『花神』であり、そのような人々が何時でも何処にでもいる、ということを感じながら、時代の流れに感化することが何であるかを考えながらの散策を楽しみました。
                          小柳恵一