FMCの話

日経NETWORK, 2006年6月号の記事の中に、FMCの話がある。

ユーザに提供するサービスレベルでの融合とインフラレベルでの融合に分けて話を進めているところに本記事のいいところがあります。しかし、最後は、他の記事に同じように、IMS/MMDの標準化とそれによるIPネットワークのNGNでインフラの統合化が可能となる、という脳天気ないつもの結論になっているのが読者への問題点提示、という点でガッカリさせられる。
このインフラレベルの統合での最大の課題は何であるか、ということを避けている。その問題は、一言で言うと、携帯網サービスを実現している移動網もモデルと、IP網で提供している移動サービスモデルとは全く異なる、モデルが一致していない、ということです。要は、IPレベルのモバイル、つまりMobileIPは決して移動サービスのモデルではなく単なるローミング程度のサービスを想定していに過ぎない。 IP網で移動モデルを提供しているサービスは、Skypeなどのようにアプリケーションレベルで実現しているP2Pオーバレイネットワークモデルに他ならない、ということです。 つまり、携帯系の移動サービスモデルとIP系の移動サービスモデル(P2Pオーバレイネットワークモデル)の融合をどうするか、が課題であると僕は思っています。両者は実は良く似たモデルです。違いは、前者のモデルは、特定のサーバで実現されているのに対して、後者は、不特定のPeerから選ばれたPeerによる分散制御で実現されているところにあります。しかし、その特定のPeerを運営業者が提供したPeerに限定してしまえは、どのモデルは益々、似ることになります。 つまり、今の携帯を対象として移動網サービスをIP化すると限りなく、P2Pオーバレイネットワークモデル的なモデルに近づく、ということになると僕は考えています。それをどのように実装するかは運用会社のポリシーであり、その1つがすでにサービスを提供しているSkypeのビスネスモデルであるといえます。
                              小柳恵一