格差に関する論文

週刊エコノミスト、2006年8月8日に記載された第46回エコノミスト賞受賞記念論文、”格差意識の日米比較からみえるもの” by 大竹文雄

よく格差が広がった、という議論があるがその実態を分析したものを読んだことがなかったので、本論文をじっくり読ませてもらいました。疑問に思っていた幾つかについて書かれていました。要点を箇条書きすると、

・日本での格差を見ると、その拡大の多くは人口の高齢化で説明できる。
  年功序列型の給料体系を考えると当然の結果になる。

・日本では、最近の20歳代を除いて、同じ年齢層内の所得格差は広がっていない。

・若年層での所得格差の拡大は、超就職氷河期で急増したフリータと失業者が原因。
  現在、景気回復で就職状況は好転

アメリカの格差を拡大したのは技術革新とグローバル化

・日米で所得格差の考え方に大きな差が生じるのは、所得が本来どのような要因で決まるべきかについての価値観である。

・日米とも選択や努力で所得が決まるべきだと考える人がともに多い。

・しかし、アメリカ人は、学歴や才能で所得が決まるべきだと考えている人も多いが、日本ではそれを許さない傾向がある。
 (小柳:確かに、そうですね。宝くじの最高額の差や、幹部の給料との差などがいい例かもしれません)

・つまり、米国では、日本よりも格差外大きくても、学歴格差や才能による格差を容認し、機会均等を信じている人が多いので格差感を抱かない、ことが日本との格差問題の受け止め方の違い。


                    小柳恵一