The Fabric of The Cosmos

Brian Greeneが書いた2冊目の本です。

1冊目の"The Elegant Universe"で展開された超ひも理論/M理論をベースに"時空"とはなんであるかを、現代物理学はどのようにモデル化し理解しようとしているかを書いたものです。

なかなか読み応えのある本です。結局一月ほどかかりました。

Brian Greene氏も超ひも理論を研究している物理学者の一人でもあります。

これら2冊は、僕自身の基本的な考え方を変えた本でもあります。いい本です。

本書の三分の二を使って、現在まで、つまりニュートンMach,アイシュタイン, 量子力学などから見た"時空"の捉え方と問題点をまとめ、それらが応えられない課題を説明可能な1つのモデルとして超ひも理論/M理論を展開すると共に、その技術の問題点を述べた力作です。

例えば、現在話題になっている宇宙インフレーションモデルの問題点、つまり時間ゼロの矛盾をM理論から導かれる11次元の世界、つまり2つのthree-braneによるサイクリックモデルによって説明可能であるが、同時に、いつからそのサイクリックが始まるのか、という新たな問題を引き出すと共に、M理論が持つ矛盾を指摘してくれています。

つまり、今のM理論は、背景に時空そのものを前提にした理論である。4つの力の内、重力を除く3つまでが開いたひもであり、そのひもがbraneにトラップされたものとしてモデル化されてる。そのbraneが展開したものが、我々が済む3次元空間としている問題を孕んでいる、と言う訳です。

M理論からその背景とした時空を取り除くためには、ループ量子重力理論のモデルを如何に取り込むかが今後のポイントになるのではないか、との指摘をしています。

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