覇王の家

司馬遼太郎全集 第34巻
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司馬遼太郎は、その如何なる著書にも"インターサブジェクティブ間主観性)"について述べてあるものを僕は観たことがありません。しかし、司馬遼太郎の作品を通して、その確かな目はインターサブジェクティブな観点から日本とは、日本人とは何であるかを見つめてきている、と思えるのです。戦国の日本を見つめるために、黒田官兵衛からの風景を描いたのが播磨灘物語であり、徳川家康の眺めた風景を描いた作品が覇王の家だと思えるのです。その結果、あれだけの多くの作品を司馬遼太郎は書くことになったのだと思えます。それを読む僕に、間主観性的な新たな時空を描かせてくれるのだと思います。

インターサブジェクティブな世界、つまり相対的なものの見方の重要性を司馬遼太郎は自らの著者で表現している、といっても過言ではない、と僕は思えるのです。現在60億の人口があれば、地球の人々から見た現在は60億の時空がある、ということを認めなくてはいけない、ということだと思います。

まさに、物理学でいう相対性理論的世界を哲学の世界でもしっかりと認識する必要がある、ということだと思います。