心は量子で語れるか―21世紀物理の進むべき道をさぐる

1999
講談社
ロジャー・ペンローズ, 中村 和幸

ロジャー・ペンローズが語ろうとしている理論を少しでも深く理解したく、ロジャー・ペンローズの著者を読み漁っている。この本は、"The Large, The Small and The Human Mind"の日本語訳である。直訳すれば「宇宙、量子そして意識」である。果たして、このような日本語の題名に翻訳していいものが少し疑問を持ちますが、訳の内容は確かなものです。本書で、ロジャー・ペンローズが提案するObjective Reduactionが何であるかを少し掴み始めたような気がします。それぞれの粒子があれば、その粒子が存在する時空が決まる。複数の粒子が重なるとそれらの異なる時空の衝突が発生する。そこでは質量の移動が起きるとともに波動状態からある古典的な状態に収束する、という非計算的な現象であるORが起きる。そのORを明らかにするOR物理学が、量子力学の次のステップとして必要であると主張していることに私は強い興味を抱いています。