科学論入門

1996
岩波書店
佐々木 力

科学論について近代自然科学を総合的にとらえるために、その歴史、哲学的背景社会科学的分析などを踏まえて論じた意欲的な著作になっている。

フォン・ノイマンをこのような背景から捉えた場合の科学者としての基本的な問題点に言及したり、フランシス・ベーコンが指摘した西洋科学の基盤となった3代技術(火薬、印刷技術、羅針盤技術)がどれもみな中国で生まれたものでありながら、その後の近代技術がなぜ中国で生まれなかったかの論理展開とその論理がソビエト連邦での技術など現代にも通じる話などは実に興味深いものです。つまり科学技術と社会体制などとの密接な関係を見事に展開しています。

お勧めの本です。ただ、僕が個人的に捜し求めている命題については触れていないのが残念です。しかし、1996年に出版されたことを考えると仕方がないことかもしれません。