Joan Magueijo

Joan Magueijo は、以下の本を著した物理学者です。
僕は、この人の名が、数年後に世界で忘れられない名前になることを期待しています。つまりアインシュタイン以来の物理学者の出現を期待したいです!
もし、彼の提案するVSL理論が実証されなかったとしても本書は読む価値はあると思います。そこには、若い人が科学に挑む時の新鮮な心と行動が著されているからです。


“光速より速い光 〜アインシュタインに挑む若き科学者の物語”
2003 NHK出版
ジョアオ・マゲイジョ, 青木 薫

りー・スモーリンの著書 

http://mixi.jp/view_item.pl?id=764409

http://mixi.jp/view_item.pl?id=1013005

で紹介のあったJoan Magueijoさんが書いた本です。
VSL理論(光速変動理論)の創始者である著者が、その理論を提案し発展させるその過程と彼の生き方・考え方を表した本です。

VSL理論は、アラン・H. グースのインフレーション宇宙論

http://mixi.jp/view_item.pl?id=111061


がビッグバンの幾つかの問題を解決できるが、均質問題などの対応に壁に当たっている中で、全く異なる発想から提案したのがきっかけです。しかし、インフレーション宇宙論とは異なり、このVSL理論は、まさにアインシュタイン特殊相対性理論が単なる近似値であるとして覆す理論でもあり、特殊相対性理論をベースに展開された様々な物理の法則を塗り替える提案でもあります。たとえば、エネルギー保存則も実際は成立しない、とかアインシュタンインが間違って用いた宇宙定数に意味があることを示す根拠、即ち、真空がエネルギーを創出するなど、実に面白い話が展開されています。そしてその提案を学会に提案する際に拒否されるなど、アインシュタイン理論に立ち向かう立場の中での現在の学会のありかた、イギリスを中心とした教育・研究機関の在り方、そして助成金の在り方など、まさにあらゆることの本質をついた話が著書の人生を通して描かれた本です。

今、数々の実験でVSL理論を実証する可能性があるデータが得られていますが、それが光速が変化したためなのか、他の要因なのか、単なる誤差なのかの実証が難しい段階のようです。

そして今、リー・スモーリンと共同でVSL理論と量子重力学を結びつけた新たな研究を進めているので、その成果が楽しみです。これがM理論超ひも理論)、ループ量子重力論とは違った形で、実験で実証可能な理論の構築ができればと期待する次第です。

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