”Web 2.0とは?”
ティム・オライリー著 ”What Is Web 2.0"
の翻訳が雑誌”INTERNET"2006年1月号に記載されています。
次世代のソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデルについてのO'Reillyの考えが示されています。
インターネットに今後関わる方は必読であると思います。実に示唆に富んだ内容であると私は思います。
雑誌に載っているオライリーさんは何故か襟のついた上着を着ています。何度かお会いした際は、壇上で演説する時でも着古されたTシャツだけでした。
キーワードは、”集合知”でしょうか。
複雑系でいうところの、部分よりも全体の機能が勝る。あるいは、部分から想像もつかない全体の新たな知が創生される、ということに近い言葉ですね。
この二日間、この論文の中身を考えています。
・今までボヤットしていた自分の考えで、その原因であった霧を取り払ってくれた点もあります。
・同感だと思ったこともあります。
・なるほどと考えさせられたこともあります。
今のインターネットで起きていることを実に見事に表現していると私は思います。少し、私のものの見方を修正する必要があるようです。
ソフトウェアはパッケージではなく、サービスである、ということはここ何年か言われ続けていることです。
その意味する本質は何であるか? を考えさせてくれました。
Web 1.0の旗手がNetscapeであり、Web 2.0の旗手がGoogleである、との捉え方。そしてその両者の本質的な違い。それを理解することが重要なポイントですね。
つまり、Netscapeはマイクロソフトと同じ土俵で戦っていましたが、Googleはマイクロソフトとは全く異なる次元で戦っているのです。つまり、マイクロソフトからみると戦える土俵がまだ目の前に無い、といえますね。
ソフトウェアの価値は、そのソフトウェアが管理するデータの規模とダイナミズムにある。
なるほどと思いました。GoogleもNetscapeと同じ、ソフトウェア企業です。しかし、Netscapeは、1980年代のソフトウェア革命から生まれたLotus, Microsoft, Oracle, SAPと同じソフトウェアに属していましたね。APIやそれをとりまくソフトパッケージで儲けていました。
しかし、Googleは違いますね。Googleは、eBay, Amazon, Napsterといったインターネットアプリケーションで商売している企業であり、ユーザにサービスを売っています。Webをプラットフォームとして新たなサービスを売っていると簡単に言うこともできます。
つまりGoogleなどの企業はオペレーションそのものがコアコンピータンスになる、ということですね。つまり、その企業の製品開発能力は、その企業のオペレーション能力に比例することになります。
これかつての日本電信電話公社時代の電話サービスと同じなんですね。もちろレイヤが違いますが、、、。また電力会社とも同じです。オペレーションカンパニーになる。しかし、これら企業と根本的に違うところがある。それはユーザを共同開発者として扱う、という観点なんですね。
ここに非常に重要な点が含まれています。
ユーザを信頼する、という点です。
実は、これはインターネットの基本原理なんです。もう皆さん忘れているかもしれませんがね。
そして、システムの構築に当たっては、軽量なプログラミングモデルを使って、システムを緩やかに統合できることであり、調停(Coordination)ではなく、連携(syndeication)が重要ということになりますね。それで成功しているのがRSSでありREST、ということになります。
小柳恵一