SOA (Service Oriented Architecture) に関して、とかく抽象的なモデルのみの説明であったり、具体性に関してもある1面のみの説明だったりする場合が多いのですが、本特集は現状の分析と課題、そして対策と今後の課題を具体事例で説明しており参考になると思います。

”具体事例でよくわかるSOA" JAVA Press Vol.47, pp.87-132

内容としては、
1.開発現場のためのSOA:メリット、課題、今後の取り組み
2.ServiceMixによるESB(Enterprise Serive Bus)の構築:これに関してJABIコンテナを例に具体的に書かれている。
3.SOA時代に向けたシステム関連携パターン:プロトコルと設計パターンについて分散制御に関する基本的な捉え方に沿って記述されている
4.Struts+JAXBによるサービス指向エッジ:とかく、WDSLやSOAPを用いたWebサービスだけがサービス連携を実現する唯一の手段のごとく描かれている書物が多い中で、そのようなものは無くてもより簡単にWebサービス並みのことはできる例が具体的に書かれているのがいいですね。俗にいう”SOAP or REST"の話になりますが、そのようなことに関わり無く、ターゲットを実現する為によりシンプルな方法がある、ということを示していると思います。また、SOAで解決できない当たり前の課題を正直にしめしてる、という点にも好感を持てる記事になっていると思います。

昔から、分散技術、そしてサービスの連携の議論はなされているわけですが、とかく目前の実現方法が異なるから違うのである、という描き方が多い中、何が違えているかについて最大のポイントがXMLをベースとしたメッセージの表現から生まれていることを明確にし、それとBMPLなどからEnterproze Service Busを構築することによりCORBAなどの従来技術との違いを示している点もいいと思います。

最後に、RESTを実現する1つの提案技術としてのStruts+JAXBの話にまで至っているのが気に入りました。

P2P Overlay Networkがユーザ参加型のコンピューティングモデルを具現化することにより新たなサービスを創生するための技術であるのに対して、SOAは、異なる既存分散技術で実現されている各種システム(サービス)を連携することにより新たなサービスを創生するための技術として捉えるといいのではないかと思います。その時の鍵が、各種サービスの連携を記述するBMPLに従ったメッセージのやり取りを可能にするEnterprise Service Busであるのではないかと考えます。それを可能にするポイントの1つがXMLで表現されるメッセージですね。