量子論アインシュタイン「もう一つ」の物語

http://d.hatena.ne.jp/KeiichiKoyanagi/20060530
で書いた雑誌Newtonの300号記念の第2弾として"量子論アインシュタイン「もう一つ」の物語"がコペンハーゲン解釈の続きとして書かれています。

プランクの量子仮説からアインシュタインの光量子仮説、そして光子へ。さらに、光電効果により光量子仮説を実験で証明しながら、その光電効果実験を成功させたミリカンが生涯、自分が証明した光量子仮説を信じなかった話、さらに、学位論文でしかなかったブロイの物質波のアイデアアインシュタインがサポートする物語、そして、これほどまでに量子力学の基本を生み出したアインシュタインが、最後まで反対の議論を続けた経緯と、その際に行われたボーアとの論争の内容が実に面白く書かれています。特にボーアとの論争でアインシュタインが示したあの有名な「光箱」が、ボーアにより、アインシュタインが提唱した相対性理論を持って否定され、量子力学の不確実性を示す話など、これほど知的で面白い話は他にはないのではないかと思わせるものがあります。

そして、最後に、アインシュタインが死ぬまでやり遂げようとした力の理論の統一が、電磁波と重力の統一ではなく、その後、量子力学により電磁波と、弱い核力、さらには強い核力とが統一されていく話はまさに人類の巨大な知的遺産の1つでしょうね。

それにしても、その後の量子力学の発展に大きく寄与した議論、つまりアインシュタインとボーアとの議論の重要性を深く認識しました。

議論できる相手が居ることの大切さを再認識しましたね。

                       小柳恵一