「IPv6とは何なのか?」
「IPv6とは何なのか?」UNIX magazine 2006年7月号
を読んで私が思うこと。
それは『そろそろIPv6原理主義者から普通の技術者になっては如何でしょうか』, ということです。
つまり、結論からいうと、”IPv6はIPv4が築き上げてきた人類の遺産との互換性が全くなく、かつIPv4で指摘されている問題点を基本的に1つも解決できていないこと、さらに、IPv6用のネットワークとソフトを構築するには膨大なお金がかかりすぎる”、ということです。つまり、IPv6は導入はされますが特定な分野だけ、ということになります。
以下、技術的な理由:
●IPv6はIPv4が築き上げてきた人類の遺産との互換性が全くない理由
1.IPv4とほぼ同じようなレイヤ3の機能を基本的に全く異なる方法で実現してしまった。
●IPv4で指摘されている問題点を基本的に1つも解決できていない理由
1.セキュリティ: リーチャビリティがIPv4よりの増すのでちゃんとした対処をしない限りさらに危険になります。
2.ユーザの設定の簡易化などの自動設定:IPv4/IPv6問題とは関係がありません。
3. 信頼性、DDoS問題:IPv4/IPv6での違いはありません。
4.モバイル性:IPv4/IPv6もどちらも基本的には、レイヤ3で実現しようとしており大差がありません。また、どちらも物理的な場所に深く依存しているために電話網でいう電話番号に相当しますので移動サービスには不向きです。実現できるのはローミングサービス程度です。むしろ、移動サービスには携帯番号のような論理番号が必須でありレイヤ3の番号ではなく、アプリケーションレベルで与えた番号管理必須です。例えば、P2Pオーバレイネットワークで実現している論理番号によるルーチンがその1つです。Skypeなどですでに実現していますね。
5.マルチキャスト:IPv4/IPv6で差はありません。むしろ、レイヤ3で実現するよりもアプリケーションレベルで実現すべきサービスと考えます。
6. P2Pの実現:第3世代のP2Pは、オーバレイルーチングによる実現、即ち、アプリケーションレベルでのルーチングの実現の検討が進んでいます。IPv4/IPv6にはまったく関係がありません。IPv6の方が適している、と言っている方は、第一世代の昔のP2Pの話をしています。
7.情報家電:IPv4/IPv6の問題とは別ですね。もっとサービスの観点からの議論が必要です。IPよりもむしろP2Pオーバレイルーチングなどのようなアプリケーションレベルの発見技術などによって実現されるべきでしょう。
8. IPv4枯渇問題:サービスレベルから考えると、オブジェクトモデル上では、あるオブジェクトにメッセージを送るためには相手のオブジェクトレファレンスIDを知る必要がります。そのIDの構成は、下位レイヤから述べると、IPアドレス+ポート番号+TimeStanp+オブジェクトID+メソッドID、は必要になります。つまり、IPはこれらの構成の1つのIDでしかありません。これだけの複数のIDsから相手のサービスを識別できればいいのです。そしてIPはあくまでもネットワークに接続されたホストのインターフェースを示せればいいだけなんですね。その他のID、例えば、オブジェクトID+メソッドID なども分散システム上ではGUIDとして128ビットの大きなIDが必要であれば複数付与されています。つまり、なにもIPレベルで128ビットを付与しなくてもいくらでもサービスの識別は可能である、ということです。さらに、IPv4の64ビットの大きさでもいくらでも工夫が可能なサービスが多いのです。例えば、第3世代のP2PはIPのよるPeer-to-Peerなどを期待していません。つまり128ビットの大きなIPレベルの大きさが必要なサービスは限定されてしまうということです。
●IPv6用のネットワークとソフトを構築するには膨大なお金がかかりすぎる理由
1.ネットワークとソフトの作り直し要
小柳恵一