Programming The Universe

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1400033861/mixi02-22/

なるほど量子コンピュータの研究者を代表する一人であるSeth Lloyd氏の最新の本であるだけあって実に面白い。また一つ新たな物の見方を発見した思いがします。

宇宙を熱力学の第一と第二法則、つまりエネルギーと情報(エントロピ)として捉え、理論を掘り下げていく展開には人を引き付けるものがあります。勿論、いろいろな本にエネルギーと情報で宇宙を捉える話は出てきますが、宇宙誕生の話から可能な限り表現しているところに面白さがあります。そして、その結論として、宇宙は量子ビットを持つ量子並列処理可能な量子コンピュータであるとし、その宇宙量子コンピュータの大きさを計算して示しています。その量子コンピュータを作り上げれば、宇宙のシミュレーションではなく、宇宙そのものになる、という展開になっています。

勿論、ペンローズが指摘するようにその基本となる量子力学そのものにまだ課題がある限り実現には困難を伴いますが、提案としては見るものがあります。例えば、僕のような未熟者の感想としては、量子並列処理により現在のコンピュータから想定できない処理速度が可能になっても新たなアルゴリズムがそれだけからは生み出されるようには思えないですね。

筆者は、Lee Smolinの著書Three Roads to Quantum Gravity http://mixi.jp/view_item.pl?id=722768 のFourth Road にQuantum Computerがなりえると言明しています。

ただ、本書を読んでいると、Lee Smolinの最近の著書であるThe Trouble Physicsでも指摘しているloop Quantum Gravityで議論になっているspacetimeの創生に関わるcasuality問題にQuantum Computerの適用が最も向いている、と言っている観点から考えても、相反する理論というよりも相補的な理論の関係があるように思えます。
http://mixi.jp/view_item.pl?id=764409