龍馬 四、薩長篇

KeiichiKoyanagi2008-08-27

津本 陽
角川書店
2005年5月25日

いい作品です。

このシリーズの中で本篇で新聞記事的な物語りから小説になった感じがします。龍馬に関する歴史的記録が豊富になり、それらを丹念にたどりながら津本さんらしい小説に作り上げています。そこには等身大の坂本龍馬がいる感じを受けます。

丁度、本書を泉大津から新門司港行きのフェリーで読んでいると、大阪天保山沖から出港する薩摩藩船に龍馬、おりょう、そして西郷が乗船し、瀬戸内海航路の美しい光景を見ながらその三人が会話を交わした話に出会いました。明治維新おりょうが語った話として記録されています。その文章を取り入れながら書かれた3人の語らいに臨場感を覚えながら読んだ余韻がまだ残っています。

龍馬が死んだ後、何故、おりょうが西郷を頼って東京を訪れたが分かるような気がしました。勿論、西郷は、征韓論に敗れて鹿児島に帰国した後だったのでおりょうさんは西郷さんに逢えなかったのが残念です。ただ、その際に東京で撮った写真でおりょうさんの若い姿を今、拝見できるのはうれしいことです。