南蛮のみち

司馬遼太郎全集〈59〉街道をゆく人(8) 
文藝春秋
1999年6月
にあります。

バスクとそのひとびと
司馬さんの街道をゆくシリーズの中で最も印象に残っている作品の1つです。

昔、初めて読んだ時、ザビエルが、そして司馬さんが歩いたソルボンヌ大学をはじめ大学が集中しているカルチェラタンが夢に現れ、そこを自分が歩いている風景を今でも鮮明に覚えています。

その数年後、自分も初めてカルチェラタン歩いた時の嬉しさを忘れないでいます。

司馬さんは、ザビエルを通してバスク人を語りながらフランスとスペインを歩き、また、バスク人を通してザビエルを見つめなおしながら話を進めています。そして、バスク人ユダヤ人、アイヌ人などの少数民族と国家との関わりについて語りながら、フランス革命の功罪に言及して、この作品を終えています。

僕は、まだ、ザビエルが生まれたザビエル城に行ったことがありませんが、いつか行きたいと思っている場所の1つです。

マドリード周辺
カスティーリャを司馬さんは歩いています。フェリペーぺ二世に想いを寄せて歩く司馬さんの足は、ザビエルを慕いながらバスクの人々の間を歩く司馬さんの足に比べ何やら足取りが重く感じながら読ませて貰いました。

ポルトガル・人と海
リスボンに到着した司馬さんの足は、また軽やかになったように感じながら読みました。マドリッドを歩くザルビエルに想いを馳せる司馬さんは、実に楽しそうです。そして、大航海時代を切り開いたエンリケを通して、日本との関わりと、イスラムを中心としたその背景を語りながらサグレル岬にまだ足を運び、この作品を終えています。いい作品です。